東京地方裁判所 平成3年(特わ)570号 判決 1991年9月12日
本店所在地
東京都世田谷区経堂一丁目一四番三号
株式会社
建秀
(右代表者代表取締役 小林健)
本籍
東京都中野区上高田三丁目一一番地
住居
東京都杉並区浜田山四丁目二五番五号
プレステージ浜田山二〇七号
会社役員
小林健
昭和一〇年一一月二六日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官白濱清貴出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社建秀を罰金四三〇〇万円に、被告人小林健を懲役一年六月に各処する。
被告人小林健に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社建秀(以下、被告会社という)は、東京都世田谷区経堂一丁目一四番三号(昭和六一年一一月五日以前は東京都世田谷区祖師谷三丁目八番一〇号)に本店を置き、不動産の売買、仲介等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人小林健(以下、被告人という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の支払手数料及び給与を計上するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 昭和六〇年四月二二日から同六一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五二五七万八九三四円で(別紙1修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が三二四九万二〇〇〇円であったのにかかわらず、同六一年五月三一日、東京都世田谷区若林四丁目二二番一四号所轄世田谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一八七九万五九二五円、課税土地譲渡利益金額が九三二万円であり、これに対する法人税額が八五四万九四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第四九二号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二七七五万七一〇〇円と右申告税額との差額一九二〇万七七〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ
第二 昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億二五七一万九二二九円で(別紙3修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が二億九〇一三万八〇〇〇円であったのにかかわらず、同六二年六月一日、東京都世田谷区松原六丁目一三番一〇号所轄北沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九五八八万二五二三円、課税土地譲渡利益金額が六三二三万六〇〇〇円であり、これに対する法人税額が五二九五万二一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第四九二号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億九七八五万一九〇〇円と右申告税額との差額一億四四八九万九八〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書(三通)
一 原田信一の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の次の各調査書
1 仲介収入調査書
2 給料手当調査書
3 歩合給調査書
4 謝礼金調査書
5 受取利息調査書
6 課税土地譲渡利益金額調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(四通)
一 登記官作成の商業登記簿謄本
一 登記官作成の役員欄閉鎖登記簿謄本
判示第一の事実について
一 収税官吏作成の仲介手数料調査書
一 押収してある被告会社の昭和六一年三月期の法人税確定申告書一袋(平成三年押第四九二号の1)
判示第二の事実について
一 臼井康雄の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の次の各調査書
1 支払手数料調査書
2 有価証券売却損調査書
3 事業税認定損調査書
一 押収してある被告会社の昭和六二年三月期の法人税確定申告書一袋(平成三年押第四九二号の2)
(法令の適用)
罰条
被告会社 判示第一、第二の各事実につき、法人税法一六四条一項、一五九条一、二項
被告人 判示第一、第二の各所為につき、法人税法一五九条一項
刑種の選択 被告人につき、いずれも懲役刑選択
併合罪の処理
被告会社 刑法四五条前段、四八条二項
被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)
刑の執行猶予 被告人につき刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(求刑 被告会社 罰金五〇〇〇万円 被告人 懲役一年六月)
(裁判官 西田眞基)
別紙1
修正損益計算書
<省略>
別紙2
脱税額計算書
<省略>
別紙3
修正損益計算書
<省略>
別紙4
脱税額計算書
<省略>